AIの文字起こしは1時間いくら?Mistral「Voxtral 3」の料金から計算する、自分で録音を文字起こしするコストと、日本語で使う前の3確認

会議やインタビュー、講座の録音を文字起こししたい。ただ、月額アプリを払い続けるのは気になる。そう考えて、APIで自分で文字起こしする方法を調べている人向けの記事です。
2026年10月20日に発表されたMistralの「Voxtral 3」の料金で計算すると、60分の録音の文字起こしは、Mini Transcribe 3で0.21ドル、1ドル157円なら約33円です。この記事では、Voxtral 3 文字起こしの料金計算、月額アプリとの損益分岐、日本語で使う前の3つの確認をまとめます。
※情報は2026年10月27日時点です。Voxtral 3は発表直後のため、価格や仕様は変わる可能性があります。
結論:Voxtral 3の文字起こしは1時間で約33円。ただし日本語の精度は自分の録音で確かめる
Voxtral 3の録音済みファイル向けモデルは2種類あります。Mistral公式の料金は、Mini Transcribe 3が1分0.0035ドル、Small Transcribe 3が1分0.004ドルです。Small Transcribe 3は文字起こしの精度を重視した上位モデルで、話者分離にも対応するとされています。
| モデル | 1分あたり | 60分の録音 | 円換算(1ドル=157円) |
|---|---|---|---|
| Mini Transcribe 3 | 0.0035ドル | 0.21ドル | 約33円 |
| Small Transcribe 3 | 0.004ドル | 0.24ドル | 約38円 |
| (参考)Mini Transcribe Realtime 3 | 0.008ドル | 0.48ドル | 約75円 |
Realtime 3はリアルタイム字幕のようなストリーミング用です。録音済みのファイルを後から文字起こしするだけなら、上の2モデルが対象です。
計算の前提
- 為替は1ドル157円で計算しました。10月27日朝の為替ニュースの見出しでは、156〜157円台で推移していました。円換算は
分数 × 1分の単価(ドル) × 為替レートで自分の条件に置き換えられます - 税、決済手数料、為替手数料は含んでいません
- 単価は公式発表の標準料金です。無料枠や割引の有無は確認できていません
結論は3点です。
- 料金だけを比べると、月30時間までの利用ならAPIは月額アプリより安い計算になります(根拠は「月額アプリと比べると」の章)
- APIが返すのは文字データです。録音の取り込み、保存、修正画面は自分で用意する必要があります
- 日本語は公式の評価対象に入っていますが、日本語単独の精度は公開されていません。「使う前の3確認」の1つ目にある短い録音テストが欠かせません
Voxtral 3の発表内容を整理する
事実関係を、確認できた範囲で整理します。
- 発表日:2026年10月20日です(MarkTechPost)
- 文字起こしモデル:Mini Transcribe 3(4Bパラメータの小型モデル)、Small Transcribe 3、リアルタイム用のMini Transcribe Realtime 3の3つです。音声合成(TTS)やボイスエージェントのAPIも同時に発表されましたが、この記事の対象外です
- 対応言語:録音済みファイル向けの2モデルは50言語です(Mistral公式ドキュメント)
- 提供形態:Mistralの欧州拠点APIで提供されています。欧州・米国・グローバルのエンドポイントがあり、音声を保持するかどうかを利用者側で管理できると説明されています(Mistral公式発表)
- 自社環境への配備:可能ですが、Mistralの営業窓口を通す形です。オープンウェイト(モデルの重みの公開)は、10月26日時点でHugging Faceに見当たらないと報じられています(Digital Applied)
- 提供状況:公式発表ページにはプレビューの表記が見当たりません。一方、第三者の解説記事では、4モデルすべてがMistral APIのパブリックプレビューとされています(Digital Applied)。正式版で価格や仕様が変わる前提で見ておくのが無難です
精度の比較値はすべてMistralの自己申告で、第三者による検証結果は示されていません。
月額アプリと比べると、月何時間から逆転するか
文字起こしアプリの代表例として、Nottaの日本向け料金(公式料金ページ)と並べて計算します。Nottaの金額は年払いの月換算で、税込です。
| 月の録音時間 | Mini 3(約0.55円/分) | Small 3(約0.63円/分) | Notta プレミアム(月1,185円) | Notta ビジネス(月2,508円) |
|---|---|---|---|---|
| 10時間 | 約330円 | 約377円 | 1,185円 | 2,508円 |
| 30時間 | 約989円 | 約1,130円 | 1,185円(月1,800分の上限ぴったり) | 2,508円 |
| 60時間 | 約1,978円 | 約2,261円 | 上限超過 | 2,508円 |
| 100時間 | 約3,297円 | 約3,768円 | 上限超過 | 2,508円 |
Nottaの無料プランは月120分(1回につき3分まで)、プレミアムは月1,800分(1回5時間まで)、ビジネスは分数が無制限(1回5時間まで)です。
表から読み取れる損益分岐は次のとおりです。
- プレミアムの上限(月30時間)以内:MiniもSmallも、APIの方が安く収まります
- ビジネスとの分岐:Miniで月約76時間、Smallで月約67時間を超えると、定額の方が安くなります
- 月数時間の利用:APIなら数百円で済みますが、月10時間でも差額は800〜850円ほどです。設定や保守にかける時間の方が高くつく人もいるはずです
APIで自分で文字起こしする人と、アプリを使う人の向き不向き
料金の差が小さい月もあるので、向き不向きで考えるのが現実的です。
APIが向いている人
- 月に30時間以上、まとまった量を文字起こしする
- PythonやNode.jsで簡単なスクリプトを書ける
- 文字起こし結果を自分のシステムやスプレッドシートに自動で流したい
- 1本ずつの修正画面は不要で、生のテキストが欲しい
APIが向いていない人
- 録音から要約、検索、修正までを1つの画面で済ませたい
- 月数時間程度で、数百円の差のために環境を作りたくない
- プログラムを書く時間が取れない
- 録音に社外秘の内容が多く、データの保存先を自分で判断しきれない
見落としやすい費用
- 録音ファイルを分割したり、エラー時にやり直したりする手間
- 為替の変動と決済手数料
- プレビュー期間中の仕様変更に追従する手間
使う前の3確認
1. 日本語の精度を、短い録音で試す
ここが最大の不確実性です。確認できたことは次の2点です。
- Mistralの発表ページに載っている精度比較(FLEURSという多言語ベンチマーク)の評価言語に、日本語が含まれています。日本語は文字誤り率(CER)で測られていて、英語などの単語誤り率とは直接比べられません
- 一方、公式ドキュメントの言語ページは「50言語」と数を示すだけで、言語名を並べていません。日本語単独の精度数値も見当たりません
つまり「日本語を評価はしているが、日本語でどの程度使えるかは自分で確かめる」ことになります。試し方の例です。
- 実際に使う種類の録音を、3〜5分だけ用意する(会議なら会議、インタビューならインタビュー)
- 固有名詞、数字、専門用語、複数人の発言、雑音が入る箇所を含める
- 言語を指定する場合は2文字コード(日本語は
ja)を使う。省略すると自動判定される - いま使っているアプリの結果と並べて、誤りの種類(固有名詞なのか、聞き落としなのか)を見比べる
この記事では、筆者自身が日本語の録音を試した結果は掲載していません。試した人の結果が出てきたら、そちらを優先して判断してください。
2. 録音に含まれる個人情報・機密の扱いを決める
音声はMistralのAPIに送信されます。公式発表では、欧州拠点のAPIで提供され、音声の保持を利用者側で管理できると説明されています。ただ、これだけで社外秘の録音を送ってよいとは言えません。
- 利用規約とデータの取り扱い方針を、送信前に読む
- 顧客名や個人名が入る録音は、社内のルールや取引先との契約に反しないかを確認する
- 迷う録音は、日本の事業者が提供するサービスや、自社環境で動かす方法を検討する(自社環境への配備はMistralの営業窓口経由です)
3. 話している人の同意を得ているか
文字起こしの前に、そもそも録音してよいかの問題があります。
- 会議や取材では、録音すること、文字起こしにAIサービスを使うことを、先に伝えて了承を得ておく
- 同意の範囲(社内のみか、公開するか)を決めておく
- 録音データと文字起こしの保管期間を決めておく
費用や精度より前の話ですが、後から問題になりやすいのはここです。
アプリのまま使うという選択肢
3つの確認を済ませるのが面倒なら、録音から文字起こし、要約までまとまった形で使う方が早く終わります。
Plaudは、録音・文字起こし・要約までを1台で行うAIボイスレコーダーのブランドです。ボタンの長押しで録音を始められ、公式の紹介では112言語に対応するとされています。毎月300分の文字起こしが無料枠に含まれるので、月5時間程度の利用なら、まず無料枠の範囲で日本語の精度を確かめられます。端末の購入費は別にかかるため、短時間しか使わない人は、手持ちの録音データをNottaの無料プランなどで試す方が安上がりです。
詳しい使い方や機種の違いは、Plaud解説記事にまとめています。
イヤホン型で通話や会議を録りたい場合は、ZENCHORD 1の解説記事も参考になります。Googleの文字起こしモデルを使う方法は、Gemini 3.5 Transcribeの記事をご覧ください。
よくある質問
Voxtral 3の文字起こしは日本語でも使えますか?
公式の精度比較の評価言語に日本語が含まれています。ただし、公式ドキュメントの言語ページに日本語の記載は確認できず、日本語単独の精度数値も公開されていません。3〜5分の短い録音で試してから判断するのが安全です。
1時間の録音はいくらですか?
Mini Transcribe 3で0.21ドル、Small Transcribe 3で0.24ドルです。1ドル157円なら、それぞれ約33円、約38円です。税や手数料、為替の変動は別です。
月に何時間までならAPIの方が安いですか?
Nottaのプレミアム(月1,185円)と比べると、Mini、Smallともに月30時間の上限以内なら、APIの方が安い計算です。無制限のビジネス(月2,508円)と比べると、Miniで月約76時間、Smallで月約67時間が分岐点です。
プログラムを書けなくても使えますか?
Voxtral 3の文字起こしはAPIで提供されるため、そのままでは録音を投げて結果を受け取る仕組みを自分で用意する必要があります。プログラムを書かずに済ませたい場合は、文字起こしアプリや録音機を使う方が現実的です。
料金は今後変わりますか?
第三者の解説では、4モデルともパブリックプレビューとされており、正式版で価格や仕様が変わる可能性があると指摘されています。使う直前に、Mistralの公式料金を確認してください。
まとめ
Voxtral 3の文字起こしは、60分の録音で約33〜38円(1ドル157円の場合)です。月30時間以内ならNottaのプレミアムより安く、月約67〜76時間を超えるとビジネスプランの方が安くなります。
ただし、APIで自作するなら、日本語の精度、録音データの扱い、話者の同意の3つを先に確認しておく必要があります。月数時間の利用や、プログラムを書く時間が取れない場合は、アプリや録音機のまま使う方が手間を含めた負担は小さくなります。
※料金、無料枠、仕様は変更されることがあります。申し込み前に各公式サイトで最新の情報をご確認ください。
出典(2026年10月27日確認)






